ドライブマイカー妻の秘密とは?ヤツメウナギに隠された本当の思い

ドライブマイカー妻の秘密とは?

映画「ドライブ・マイ・カー」は28日(日本時間)に発表される米アカデミー賞で、日本作品初の作品賞など4部門で候補入りしている話題作。

映画の中で妻が夫に何かを打ち明けようとするというシーンが登場しますが、その内容についてさまざまな考察が飛び交っています。

今回はそんな家福の妻の秘密について詳しく掘り下げます。

※この記事はネタバレを含みます。

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目次

ドライブマイカー・妻の秘密とは?

ドライブマイカー・家福の妻は夫に話があると言った日に、突然くも膜下出血を引き起こしこの世を去ってしまいました。

CMでこの部分が放送されたこともあり、気になっているという方は多いかもしれません。

映画の中では妻の秘密については「秘密」のままで、最後までその秘密が何だったのかははっきりと明かされません。

人によってはモヤモヤした終わり方だと感じる方もいるようです。

映画ではあえて妻の秘密を明かさないというとり方をしていることで、視聴者に答えをゆだねているとも感じられます。

確かであることは妻が浮気をしていたこと、そして妻が倒れた日に夫に何かを話そうとしていたことです。

妻は何を思って浮気をしていて、そして何を話そうとしていたのでしょうか?
これらのことについて、詳しく考察していきたいと思います。

ドライブマイカー・妻の秘密のひとつは浮気

引用:eiga.com

ドライブマイカーの家福の妻は浮気をしていました。

映画の前半部分ではっきりと描かれているため、視聴者は妻が抱えていた秘密のひとつは浮気であったと理解することができます。

しかし妻は夫を愛していながらなぜ浮気をしていたのか?という点は謎のままです。複数の伏線や描写から、妻の浮気について読み解いてみたいと思います。

妻の浮気相手は高槻!

引用:eiga.com

妻の浮気相手は高槻という俳優でした。

映画ドライブマイカーでは岡田将生さんが演じています。

実は浮気相手は高槻だけではなく過去にもいたようで、高槻を含め妻と寝たのは全て映画での共演者で、共演している間だけの関係であったといいます。

高槻は軽薄な男という感じで描かれており、しかも高槻は妻の死後夫と交流があり(舞台の共演者となります)夫は高槻が浮気相手であったことを知り複雑な気持ちになります。

家福の演出する舞台に出演することになった高槻は、オーディションでは俳優としての瞬発力を発揮していたが、本読みを何度も何度も繰り返すうちに、「呼吸」がわからなくなる。共演の俳優たちが、反復する本読みの稽古の中から、その台詞が自分の中に入り込み、共演者との「呼吸」を掴むのに対して、高槻は置いていかれてしまう。

(引用:VOCE

高槻はどちらかというと「悪役」というイメージですが、その後俳優として劣っている点が表面化したり、最終的には逮捕されてしまうという「ボロ」が出てしまいます。

その一方で立ち直っていく夫の家福とは見事な対比的な描かれ方をしています。

妻の浮気を知りながらスルーしていた

映画ドライブマイカーの中で家福は妻の浮気を知りながら見て見ぬふりをします。

海外公演のために空港へ車で向かった夫は、フライトがキャンセルになり自宅に引き返します。

そこで夫は、数時間前に別れたばかりの妻が別の男性と寝ているところを見てしまいます。

しかしそこで相手を問い詰めるでもなく、その場を立ち去ってしまいます。

このように家福は事実から目を背けているのですが、その後の描写からもじゅうぶんに「傷ついている」ことがみてとれます。

妻の死後、夫は妻の秘密に苦しみ続けていますが、これは夫が妻の浮気を見てみぬふりをしてきたことに対する報いともとれるのではないでしょうか。

ヤツメウナギ(女子高生)に隠された妻の思い

妻の音は生前、夫がいて恵まれた生活をしていたにもかかわらず、若い男と浮気していました。

妻はなぜ浮気をしたのか、小説や映画の中でも最後まで謎として残っています。

ここで妻の気持ちを探るヒントとして、ヤツメウナギの話があります

映画ドライブマイカーの冒頭で、妻は夫にある物語を語ります。

ヤツメウナギの生まれ変わりという女子高校生が初恋の相手であるヤマガという同級生の家に空き巣を繰り返し、そこに自分の身に着けていたものを残していくといった奇妙なストーリーです

そして翌朝になると夫が妻を職場に送っていく車の中で、その物語を繰り返します。妻は脚本家ですが、自分で語ったその物語を覚えておらず、夫の記憶を頼りに思い出して脚本とするという作業をくりかえしているのです。

妻の浮気相手の高槻は、妻のヤツメウナギの話も知っており、その話には夫の知らない続きがありました。

女子高生はヤマガの家で空き巣に遭遇し襲われかけ、殺してしまいます。その死体はそのまま置いてきたというのに次の日も何もなかったように変わらず、ヤマガもいつも通り。女子高生はヤマガに殺したのは私だと伝えます。

この話は何を意味しているのでしょうか。

山賀=夫
女子高生=妻

とも捉えることができます。

妻は夫に「ヤマガの部屋に置いて行く痕跡」というかたちで自分の気持ちを伝え続けています。
しかしヤマガはそれに気づかず、女子高生は第三者に見つかってしまったことで真実を打ち明けようとします。

妻も同じように夫に真実を打ち明けようと決心をしていたのではないでしょうか。
また、ヤマガはもちろん痕跡に気付いていて女子高生なりのルールがあることを尊重して黙っていたのでしょうか。

どちらとも考察できますが、二人の想いは同じようですれ違っているように思えます。

女子高生の想いを妻の想いに重ねると、「寂しさ」や「理解してほしい」「気付いてほしい」という強い思いがそこにあるように思えます。

ドライブマイカー・妻の秘密は病気という説も

引用:eiga.com

映画ドライブマイカーで妻の死因はくも膜下出血という突然死でしたが、小説版では異なっています。

小説版では妻の死因は子宮癌でした。そしてあっという間に亡くなってしまうというストーリーです。がんだったということは映画版のように突然亡くなったというわけではなく、しばらく時間の余裕はあったようです。

その間、夫は何度も「なぜ他の男と寝たのか」「何が自分に足りなかったのか」と妻に聞きたいと考えていたようですが、結局何一つ聞くこともできないまま妻はなくなってしまいました。

この設定が映画にも反映されていたとしたら、妻は自分が癌であることを知り、倒れた日に夫に病気であることを話そうとしていた(しかしその前にくも膜下出血になってしまい亡くなってしまった)とも考えられます。

どちらにしろ夫は妻の本心を聞くことはできなかったという結末ですが、突然亡くなってしまうという映画版の設定の方がより衝撃的でドラマチックにも見えてしまいますね。

ドライブマイカー・妻が夫に伝えようとしていた内容とは

引用:eiga.com

妻が話そうとしていたのは妻が抱えている秘密だったように捉えられますが、映画を見ていくにつれ、明確に描かれている浮気以外にも秘密があった、また話そうとしていたのは秘密のことではなくほかのことであったようにも思えます。

では、妻が夫に伝えようとしていたことは何だったのでしょうか。いくつか考えられることがあるため、あらためてまとめたいと思います。

浮気していたこと

シンプルに浮気していたことを打ち明けたいということがまず挙げられます。

しかし、妻は夫が既に自分の浮気を知っていて黙認していることに気付いているかもしれません。

その場合浮気していたことを打ち明ける、というよりも夫婦で話し合いたかったということも考えられます。

病気について話そうとしていた

先述しましたが、小説版の妻は病気だったという設定があるのであれば、病気について打ち明けようとしていたことも考えられるかもしれません。

自分自身を見てほしいということ

映画ドライブマイカーで家福は妻と向き合ってない場面が描かれています。

妻と夫の間にはかつて子どもがいましたが、幼くして亡くしてしまいました。その後ふたりは子どもを持たずに生活していくのですが、子どもを亡くしたという辛さや悲しさはおそらく永遠に続くものです。

本来なら妻は自分の悲しさ、寂しさ、その思いのあまり心にぽっかりあいてしまった穴を夫に埋めて欲しかったのだと思います。

しかし家福はそういった人間ではなかったため、妻はその寂しさを埋めるように他の男と関係を持つようになったのかもしれません。

そういったことからくる妻の浮気に対する対応も、家福が向き合わなかったことのひとつでした。

妻もひとりの女性であり、悩みや欲望、葛藤という人が抱くようなごく普通の感情を持って生きており、夫と変わらないということに気付いてほしかったのではないかととらえることもできます。

妻の自分自身をみて欲しいという思いに夫が気付いていれば、すれ違い秘密を持つこともなかったのではないかと考えられます。

ドライブマイカー・妻に秘密は無かった

引用:eiga.com

妻の秘密を考察してきましたが、そもそも妻に秘密はなかったとする見方もあります。

浮気は、もしかするとわざと夫にバレるようにしていたことであり、さらに夫が浮気に気付いているということさえ妻は知っていたのかもしれません。

夫は緑内障であることと、妻の浮気を知りながら見て見ぬふりをしていることが分かっており、夫は現実から目を背けているということが見て取れます。

緑内障とは視神経が傷つくことにより視野が徐々に欠けて見えなくなっていく病気です。

自分でも気付かないうちに見えていない部分があるという病気であるため、妻のことを「見ているようで見ていない」夫そのものとも重なる部分があります。

夫は「妻の秘密」と考えているけど、そもそも秘密ではなく、妻のことが見えていなかった、のではないかとも見ることができます。

妻の浮気相手・高槻の印象的なセリフがあります。

「でもどれだけ理解し合っている相手であれ、どれだけ愛している相手であれ、他人の心をそっくり覗き込むなんて、それは出来ない相談です。」(引用:村上春樹著 女のいない男たち

だからこそ、夫である家福は妻に対して向き合わなければいけなかったのだ、と思わせるようなセリフでもありますね。

浮気を知りながら、夫は妻に対し、腹を割って話すことはありませんでした。

家福は妻と男との関係を考えることも苦痛でしたが、そのことに気付いていないふりをすることにも痛みを伴っていたように見えます。

こうしてお互い傷つきあいながらも最後まで向き合うことができなかったというのが悲しい部分ではあるのですが、物語のラストで家福は

「正しく傷つくべきだった」

ということに気づきます。

家福は過去に向き合い、亡くした妻にも向き合い、そして新しい生活へ踏み出します。ドライブマイカーではそういった再生の物語が描かれています。

まとめ

濱口竜介監督がこのようなコメントを残しています。

多少、分かりづらいところはあるだろうなとは思っていました。でも、理解しづらいところも、後で拾い直せるよう作っているつもりです。それに、分からないことが分かる。そしてまた、分からないことが出てくる、という感覚があったほうが観客は集中力を保ちながら見てくれる。(引用:NIKKEI STYLE

映画ドライブマイカーで「妻の秘密」の部分を強調しているのは、わざと難しい要素を込め、映画の面白み加えること、また視聴者自身の好奇心をあおるという意味も込められているかもしれません。

見る人によって「秘密」の捉え方はさまざまで、そこから感じ取れるものも違ってきます。

いろいろな考察がありますがもう一度はじめから映画を見直したくもなる気持ちになってしまいます。

視聴者側に捉え方を託すという投げかけも、この映画ドライブマイカーを見る醍醐味のひとつなのではないでしょうか。

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